【UUUM】動画は国境を超える。ユーチューバーの時代はこれから Vol.3

YouTuberの日々の活動をサポートするUUUM社の鎌田社長に同社の可能性を伺うインタビュー(全3回)の第3回。前回の記事はこちらです。

YouTubeは知名度と収益の獲得が完結する合理的なビジネス

小林賢治(シニフィアン共同代表。以下、小林):動画ビジネスの領域としては広告の市場も伸びると思いますし、タイアップも伸びると思うんですが、ライブコマースや海外展開など、より大きな展開もあり得ると思います。御社の次の成長の柱はどういったところと捉えていますか?

鎌田和樹(UUUM株式会社代表取締役。以下、鎌田):そもそもユーチューバーマーケティングというのはまだ黎明期だと思っています。アプリの世界でも個人が作っていたところに大手が入ってきたように、UGC(ユーザー生成コンテンツ)のあとにPGC(プロ生成コンテンツ)が入ってきていますが、ネットでUGCを見るというトレンドはこれからも右肩上がりに伸びていくと思っているので、まだまだユーチューバーを束ねることを柱にしていきたいですね。

小林:クリエイターがコンテンツを配信するプラットフォームとしては、引き続きYouTubeが中心になっていくと思われますか?

鎌田:Instagramなどをやっているクリエイターもいますが、それでもYouTubeに大多数のクリエイターが集まるのは、YouTubeが一番経済的なメリットが高いからです。僕らはよく言っているんですが、テレビタレントの場合、有名になるのはテレビですが、稼ぐのは現場での営業ですよね。それに対してユーチューバーは有名になるのもお金を稼ぐのもYouTubeなので、そこですべてが完結する合理的なビジネスなんです。だからUGCではこれからもYouTubeが中心になると思います。

小林:よく聞かれる質問だと思いますが、YouTube側が条件を変えてくることに対するリスクはないんですか?

鎌田:たしかによく聞かれますね。もちろんリスクはあるんですが、プラットフォーム側にとってもUGCのコンテンツがあることが重要なので、条件を変えることでクリエイターが離脱するというリスクを今の段階で取るとは考えにくいんです。

月3万本の動画を生み出すコンテンツ企業

小林:なるほど。YouTubeを柱にしているとはいえ、お話を伺っていると、UUUMの業務内容を一言で簡単には説明できないという印象を受けました。でも多くの人は、「芸能プロダクションみたいな会社」だとか「動画広告の会社」など、一言で表現したがると思うんですね。鎌田さんはUUUMのことをどう説明しているんですか?

鎌田:可能性を感じてもらえる方には、「月3万本の動画が生まれている」と言えばコンテンツを作っている会社だと理解していただけます。そこからインフルエンサーマーケティングなどにも繋げていけると思うんですが、ご年配の方やYouTubeをあまりご存知ない方には一言で説明したほうがいいとも思うので「マネジメント会社です」って言ってますね。まだ認知が進んでいない今の段階では仕方ない面もありますが(笑)。

小林:これからのビジネスの可能性として、最近ライブコマースにいろんなプレイヤーが手を出し始めていてトレンドになりつつあると思うんですが、この領域は御社の業務の延長線上にあるんですか?

鎌田:僕らがよく言うのは、動画というのは情報伝達手段の一つに過ぎず、これだけでビジネスにできるのはプラットフォーマーなどごく一部だということです。幸い、僕らはそこに位置しているんですが、後から入ってくる場合には動画を使って何をするかを考えるのが正しいあり方なのだと思います。その中でECの分野というのはかなり可能性があるとは思います。だからそこに多くのプレイヤーが入ってくるのは当然だし、協業先にもなり得るとは思います。

村上誠典(シニフィアン共同代表。以下、村上):「成長性に関する説明資料」の9ページ目に、中期的なターゲット市場として12兆円という大きな数字を出されていますが、どういうことを期待してこの数字を出されたんですか?

鎌田:動画がもっと伸びていく分野だという可能性を伝えたいんです。ユーチューバーはトレンドを作っていけるパワーを持っているし、僕らは動画自体でマネタイズができています。これがまだまだ伸びて、他は追随しないと思っているので。

小林:海外では、MCNが大手と合従連衡する、あるいはM&Aをしていく動きが既に起こっています。日本でも同様の動きは今後起こり得るものでしょうか?

鎌田:IPOしたばかりで自己資本もまだ十数億円しかありませんし、すぐにということはないですが、IPOのメリットとして成長を加速させたいのでM&Aは積極的にやっていきたいとは考えています。ただ、合従連衡と言っても、MCNはメディアという性質も持っている以上、一社集中というのはやりにくいんです。それは上場前のときから考えていました。だからVCから出資を受けて、上場して独立してやっていこうということで、ジャフコを選んだという経緯があります。どこかの傘下に入るならIPOする必要もないですし、今後もないだろうと思います。

PPAPが示したプロ動画の可能性

村上:海外展開についてお聞きしたいんですが、国内ではユーチューバーとの関係を深めることで自然とビジネスを広げていくことができた側面もあると思うんですが、海外の場合は自然とアライアンスができるということは起こりづらいですよね。海外の進出にあたっては、ある程度の段階から意識して動かれていたんですか?

鎌田:海外を意識したこと自体は、ちょうどMaker Studios(大手MCN。ディズニーが約760百万ドルで買収)が買収された2014年にロサンゼルスに行って主要な会社と会ったのがきっかけで、非常に遅かったんです。ただ、遅かったけど得るものはあって、規模を300億円にするには日本では無理で海外に目を向ける必要があると分かったし、海外は何かこちらから仕掛けないと動かないこともわかった。だから、現場を任せられるようになった今、集中的に取り組んでいきたいと思っています。

ただ、僕らがすごく幸せだと思うのは、僕らのコンテンツを海外の人達が勝手に見てくれていて、例えば木下ゆうか(大食いユーチューバー。チャンネル登録者は300万人以上)はすでに中国で有名だったりするんです。何もないところからではないビジネスポテンシャルがすごくあるんです。このポテンシャルをどう活かしていくかはこれからの課題ですね。

でも、海外は戦い方が違うんだろうなとは思いますね。中国はYouTubeもないですし、アドセンスもなく、ウォッチ・アンド・バイが中心。その中では、広告よりも物販の方向性に行く必要があるかもしれません。でも、僕らはマネジメント会社ではなくてコンテンツカンパニーだと認識しているので、どこまでもコンテンツを生み出していく会社でありたいし、そこに投資していくことに変わりはないと思います。

村上:PPAPのようなプロが創ったものがYouTubeから世界に広まるという動きはどうご覧になっていますか?

鎌田:PPAPはバイラルの仕方が面白いとは正直思いますし、この何年間かでプロが作ったコンテンツが着実に再生されるようになってきているとも思います。それがUGCの競合になる可能性はゼロではないですが、むしろ総視聴時間がどんどん増えていくことで僕らのビジネスを右肩上がりにしていくという意味では非常にポジティブですね。僕らもUGCだけをやるのではなく、PGC側に近づいて行くこともあると思いますし、まだ誰も答えを見い出せていない「動画の次は何か」という答えに近づくためにも、多様なあり方を探っていくことは必要なんじゃないでしょうか。実際、うちのユーチューバーも映画館で上映するといった実験もしています。海外ではアマゾンプライムにYouTuberのコンテンツが入っていますし、少しずつ動画の世界も変わってくると思っています。

小林:上場して、急激に組織規模が大きくなっていると思いますが、鎌田さん自身の業務については移譲していったりしているんですか?

鎌田:メンバーには恵まれているので移譲はするようにしています。ただ、現場が好きなので入っちゃうんですよ。ガバナンス上、直轄を持たないように言われてはいるんですが、楽しいんですよね。

小林:鎌田さんは根っからの現場主義なんですね。今日は単なる「ユーチューバーの芸能プロダクション」にとどまらないUUUMのお話をたっぷりお聞かせいただき、ありがとうございました!