【ロードスターキャピタル】一口1万円から始められる不動産投資を Vol.3

コーポレートファンディングとクラウドファンディングのシナジー

村上誠典(シニフィアン共同代表。以下、村上):ロードスターキャピタルの事業間のシナジーについて教えてください。御社は以前からコーポレートファンディング事業を手がけており、そこで蓄積されたノウハウがクラウドファンディング事業を手がける上での信用に繋がっていると思うのですが、そうした事業間のシナジーについてはどのようにお考えですか?

岩野達志(ロードスターキャピタル株式会社代表取締役社長。以下、岩野):シナジーは非常に大きいと思います。お金を集めることができても、どうやって運用して良いのかわからなければリスク管理ができませんよね。我々の強みは、私も含めたメンバー個人の中でノウハウが蓄積されており、不動産投資業におけるクレジットがあることです。つまり、集めた資金をリスクコントロールしながら運用できるということですね。だから、仮にリターンを出せなかったとしても、リスクコントロールの結果、損失を防いでいると言えます。もしリスクコントロールも十分になされず、そのままリスクが個人に集中してしまったとしたら、マーケットは広がらないと我々は思うんです。

村上:単純にネットでソーシャルレンディングをやりましょうというスタートアップと比べたら、財務的な面でも信用の面でも圧倒的な信頼感がありますよね。財務面のメリットも意識して、コーポレートファンディングのリソースをクラウドファンディングに回していこうとお考えですか?

岩野:その通りです。逆にそうしないと、不動産投資をわかっていない人がクラウドファンディングをやるしかない状態になってしまいますよね。そうなると、外部の専門性を持った人に投資を任せるしかないのがだいたいのパターンです。しかも、目利きのできる人はコストが高くなります。我々は自分たちでコーポレートファンディング投資をして蓄積した専門性を、クラウドファンディングの案件で活用することができます。これはすごいメリットだと思います。景気が良い時は差が出にくいのかもしれませんが、マーケットが弾けた時に、リスク管理の違いが如実に表れると思います。そうしたリスク管理について十分に理解しないままに、不動産投資のリスクを取りにいってしまったら、景況感が悪化したタイミングで即座に破綻してしまうでしょう。リーマンショックの時も、「このタイミングでもう破綻してしまうんだ」と感じる会社を散見しました。そうやって破綻した事業者の人達に聞くと、全くリスク管理ができていなかったんですね。我々は不動産マーケットにおける深い経験に基づいて二重三重にリスク管理しつつ、それでも相応の利益を出すやり方を理解していますし、そのように経営しています。

村上:金融危機を実際に経験した肌感覚って本当に大きいですよね。急成長のスタートアップ企業でこのレベルでリスク管理を徹底し、財務規律を持たせている会社は珍しいように思います。

岩野:ただ、そうは言っても、このクラウドファンディングのプラットフォームを自分たちだけで使うつもりはありません。もしも他の不動産会社から「良いファンドを設立するので、OwnersBookでお金を調達したい」とお声がけをいただいたら、将来的にはプラットフォームを開放していきたいとも考えています。ただ、そこでもしっかり目利きはしていきます。外部の不動産会社が持ってきた物件が本当にOwnersBookで不特定多数の方にご紹介し、投資を募るに値するかどうかを判断して、クオリティ・コントロールをしっかりやっていきます。

ロードスターキャピタル「成長性に関する説明資料」より

リーマンショックを経て得た不動産投資の鉄則

村上:昨今の新興市場の上場では売出しがメインであまり大きな調達をしない企業も少なくありませんが、ロードスターキャピタルは公募で約15億円の資金を調達されました。これは、財務基盤強化が主目的なのか、今後の投資に向けた資金確保の色合いが濃いのか、狙いを教えてください。

岩野:実はもう少し大きな調達をすることも検討していました。最終的にはステークホルダーとの関係性などを総合的に考えて、あの株数に落ち着きました。株数については資金調達の観点と、上場後の株価のマネジメントのバランスを考えて決めましたね。

村上:コーポレートファンディングでキャッシュフローを回しつつ、将来に向けてクラウドファンディング事業に投資をしているのだと思いますが、この両輪は資金的にうまく回せる仕組みになっているんですか?

岩野:ここは大事なところなんですが、我々自身、リーマンショック時など、過去に痛い目に遭っています。だからこそ、その手当が必要でして、例えばですが、ファイナンスを長期に引くことなんです。どうして不動産会社はマーケットが悪くなると潰れるかというと、ファイナンスが短期だからなんです。銀行さんによっては、短期の貸付でも「絶対にロール(返済期日に新たな貸付を行い、実質的に貸付を延長すること)します」と口約束するんですが、マーケットが壊れてしまったら、なかなかその口約束は果たされません。そういう経験をしてきているからこそ、なるべく長期で手当てしていただくようお願いしました。去年末時点で、加重平均で27年くらいに長期化できています。

村上:27年とはかなりの長期化に成功されていますね。相当タフに銀行と交渉されたと想像します。他に財務的に意識されているポイントは?

岩野:物件のほとんどを東京のものにしています。これはマーケットが大きく下落する局面になっても常に一定の取引量があり、最後まで流動性が残るのが東京エリア案件だからです。そういうリスク管理を取ったうえで、さらにクラウドファンディングによる資金調達はバックストップのさらにバックストップに位置づけようと考えています。

これはリーマンショックを経ての教訓ですが、リーマンショック後も個人でお金を持っている人はいて、不動産をさらに買いたいとおっしゃる人はいたんです。ただ、ディールへのアクセス手段がなかったために、そうした方々の資金は流入しませんでした。それが結果的に更なる不動産不況を誘発したとも言えます。

クラウドファンディングというインフラ作りをしておけば、マーケットがクラッシュした時こそ投資をしたいという個人にも不動産投資の道筋が開かれていて、また物件を取得したい不動産会社も個人のお金を受け入れることができ、Win-Winとなります。また、そうすることによって不動産取引量はある程度保たれ、マーケットも大きく崩れにくくなるだろうと思うんです。そういう仕組みをもったマーケットを作っていくことが、不動産市場の発展や公正化に繋がると我々は考えています。

少額でも時間をかけて積み上がる力こそクラウドファンディング事業の魅力

村上:上場時のバリュエーションや、今の株価水準についてお考えを聞かせてください。一見すると「普通の不動産投資業の会社」と捉えられてしまいかねませんし、厳しい評価を受けてしまう可能性もあったと思うのですが。

岩野:上場時の主な受け皿である個人投資家の方は、クラウドファンディングの可能性を感じている方が多いのかなと思います。機関投資家の方にしてみたら、クラウドファンディングが広がるということは、自分たちの仕事が減るというのと同義ですからね。

クラウドファンディングの可能性を不動産会社の観点から述べると、資金の調達を自分たちでコントロールできる不動産会社は非常に強いという点が挙げられます。過去を見ても、事業基盤が強かったのは銀行が隣にいる不動産会社ですよ。資金の蛇口を握っている不動産会社はどの時代でも強いんです。我々は独立系で銀行さんからの支援はそんなに受けられないですが、自分なりの蛇口を持つことができれば、圧倒的に他の不動産会社とは差別化できるはずです。

村上:その感覚は非常によくわかります。お金と案件の仕入れが多様で、かつ労力が少なければ、パフォーマンスは出て当然ですね。

岩野:その通りです。今の大手不動産会社さんは、もしかすると1億円や2億円といった規模のお金を個人から集める意義がどこにあるのかと思っていらっしゃるのかもしれません。ただ、現時点だけを見るのではなく、将来を含めて考えれば、集まる資金が10億や100億になり、1000億になる可能性だってあると思っています。スピードは遅くても、積み重なっていく強さって非常に大きいんですよね。

村上:サブスクリプションモデルやストック型のビジネスと同じですね。

ロードスターキャピタル「成長性に関する説明資料」より

岩野:我々は特に、30代や40代のサラリーマンの方々が、50万円や100万円といった規模で不動産投資できるマーケットを整えようとしています。彼らからすれば、煩雑さなしに運用できて、シンプルに4~5%の利回りを得ることができます。そうしたニーズはいくらでもありますし、もしも国外にも出て行くことができれば、そうしたニーズはさらにいくらでも広がっているんです。現時点では数億円にしか過ぎませんが、果てしなく大きいマーケットです。不動産とクラウドファンディングの相性は非常に良いので、数兆円のマーケットになる可能性がある。だから、時間をかけてでも着実に進んでいきたいと思っています。もし今の資本市場が、そういった可能性まで見て評価していただいているのであれば光栄ですね。

村上:ネットの強みとして固定費が小さいことを考えれば、投資単位はかなり小さくても良いはずです。OwnersBookの1万円という投資単位はどのように決めたんですか?

岩野:最初は10万円でやろうと考えていたんですが、たまたま家に来た後輩に話したところ、「僕、貯金10万円もないですよ」って言われたんです。「じゃあいくらなら出せるんだ?」と尋ねたところ、「せいぜい1万円ですよ」と言われて、「じゃあ分かった」と1万円に設定したんです。システムを組んでしまえば1万円も10万円も100万円も変わらないので、小さい単位のほうが良いかなと。ただ、あまり小さくなると最後に端数が余る可能性があります。これまでにOwnersBookで数千万円募集してすごい勢いで完了すると思ったら、例えば最後の2万円分だけ調整が入ってなかなかぴったり埋まらない、といったこともありました。だから、あまり刻みすぎるのも不便になっちゃうんですよ。

村上:御社の事業が直面するリスクの幅は広いのでしょうし、だからこそリスクに対して慎重に取り組まれているのだと感じます。その中で、一番怖いと思うリスクは何でしょうか?テクノロジーの世界でもあるので、競争環境の変化や競合の出現など、リスクシナリオとして見ているものはありますか?

岩野:競合は全く心配していませんね。むしろもっと来て欲しいし、その方が市場の活性化につながります。ただマーケットが大きい分、ちゃんと不動産市場を理解している人達と一緒にマーケットを育てていきたいとは思っています。リスクと考えるのは、法的なリスクや制度のリスクですね。ルールが変わるといくら準備してもできないので、そういう制度的なリスクにはしっかり対応していく必要があります。

村上:なるほど。まさにこれからマーケットを開拓していかなければというタイミングですからね。
お話を伺っていて、お金を扱う事業者だからこその高い規律や、金融危機を経験されたからこその着実な姿勢といった印象を強く受けました。今日はありがとうございました。