【WASHハウス】コインランドリーは成長可能性の大きいブルーオーシャン vol.1

国内では人口減少という逆風が吹く中、コインランドリーのイメージを刷新し、利用率を高めることでパイを拡大する戦略を掲げる、WASHハウス株式会社。国内での新規出店だけではなく、フランチャイズ事業のビジネスモデルを刷新することで、海外へ打って出る事業構想について、児玉康孝代表取締役社長にお話を伺います。

児玉 康孝(こだま やすたか)
WASHハウス株式会社代表取締役社長。1965年生まれ。宮崎県宮崎市出身。
大学卒業後、東京の証券会社に入社。大手ファーストフード店を経て、30歳で宮崎に帰郷する。地元の不動産会社に勤務したのち、2001年に株式会社ケーディーエムを設立。2005年に社名をWASHハウスに変更。以降、現職。

2001年創業のWASHハウスは、アレルギー疾患の増加する現代において、九州を起点にして全国で精力的にコインランドリーを出店。初期投資額が大きい装置産業において、不動産業の特徴を取り入れた革新的なフランチャイズ事業のビジネスモデルを掲げている。2016年に東京証券取引所マザーズ市場及び福岡証券取引所Q-Board市場に新規上場。証券コードは6537。

(ライター:中村慎太郎)

コインランドリーには大きな伸びしろがある

小林賢治(シニフィアン共同代表。以下、小林):まず、御社のビジネスの概要を伺いたいです。沿革を拝見すると、不動産仲介業として起業されていますね。コインランドリー事業に至った経緯を、お聞かせ頂けますでしょうか。

児玉康孝(WASHハウス株式会社代表取締役社長。以下、児玉):確かに気になるところかもしれませんね。最初からお話しいたします。まず、私は大学を出た後、証券会社に入りました。証券会社時代は「投資」というものを勉強することができました。その後、大手ファーストフードの会社に入社し「フランチャイズビジネス」や「マーケティング」というものを勉強することができました。その時、資本主義社会の根幹は株と不動産であると考えるようになり、不動産を勉強したいと思うようになりました。そして30歳で地元の宮崎へと戻り、不動産業に携わりました。

その会社は社員100名程度の会社ですが、2年で私は取締役になりました。経営に携わるようになってぶつかったのが、人口減少というテーマです。厚生労働省の資料では、日本の適正人口を6000万人としている資料もありますが、もし人口が半分になったとしたら、現行の多くのビジネスは継続できなくなります。不動産業はもちろん、飲食、小売なども同様です。

当時、取締役を務めながら、いずれは自分で起業したいと考えてはいたのですが、この、人口減少の影響を強く受けるビジネスには限界があると感じました。

そこで、まずは仲介業で起業すると同時に、人口減少があったとしても、今後、市場が伸びていくようなビジネスを探していました。

小林:なるほど。ある意味、見切り発車のような形で不動産仲介業で起業し、後から将来性のある事業を探したわけですね。

児玉:その通りです。11月28日に会社を作り、翌年の5月までは不動産業一本でした。5月に、取引先のお客様からコインランドリーをやってみたいと言われたことをきっかけに、詳しく調べてみた結果、この業種の面白さに気づいたのです。

どこに面白さを感じたかというと、現在の市場規模でもコインランドリー業界は成立はしているが、人口に対して、コインランドリーを利用していない人の比率が高いというところです。具体的には、コインランドリーの利用率というのは当時3%しかなかったんです。ですので、利用率を伸ばすことができれば、人口減少が進んだとしても十分な伸びしろがあると考えました。

小林:人口が半分になったとしても、利用率を2倍以上にすれば、市場は縮小しない、という発想ですね。利用率が伸ばせると考えられた理由は何だったのでしょうか。

児玉:今までのコインランドリーの利用率が低い理由は、サービスが不十分だからです。当時のコインランドリーと言えば、暗くて汚くて怖いお店ばかりでした。写真を見てみましょうか。

小林:なるほど。確かに清潔感に欠けますね。

児玉:ここで洗濯しても、衣服や布団が綺麗になるとは思えませんよね。不審者がいるという警告の張り紙も見かけました。そんな場所で女性が洗濯したいとは思わないわけです。一方で、こちらがうちのお店です。ご覧下さい。コンセプトは、明るく、誰でも使えるようなお店です。

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小林:確かに、当時のコインランドリーと比較すると、整然としていて清潔感や安心感があるように見えますね。

児玉:ありがとうございます。それに、当時のコインランドリーは、顧客サービスも不十分でした。お店には投書箱が置いてあって、トラブルがあったらここに入れて下さい、と書いてあるのですが、たとえば洗濯機が動かない時には、投書箱に入れてもすぐに対応がなされることはないわけです。電話番号が載っていることもありますが、繋がらないケースも多くあります。

どうしてこのように顧客サービスが不十分なのかというと、全国どこを見ても、大手法人が運営しているコインランドリーがほとんどなかったからなんです。

小林:なるほど。つまり、質の良い顧客サービスを提供できるプレイヤーがいなかったということですね。そこに御社が入り、コインランドリー店の質を良くしていけば、利用率を高めていくことが出来るという見通しを持たれたわけですね。結果、不動産業から洗濯業へと転換されたと。

事業モデルは洗濯屋ではなくサービス業

児玉:はい。ただ、我々は洗濯業を始めたつもりはありません。クリーニング業と違い、洗濯というサービスを提供する事業者ではないからです。我々は、場所を提供し、機器の設置をサポートし、何か問題があった時に対応する、ある種のサービス業です。しかし、サービス業といっても、常にお店に人がいる状態には出来ないというのがポイントです。ですので、まず、遠隔で店舗を管理できる出来るシステムを作るところから始めました。

始めた当初は、FAX通信の仕組みを使って洗濯機や乾燥機の電源オンオフやリセットをしていました。そのうち、洗濯機に指令を送って脱水だけをやり直させるというような細かいことも出来るようになりました。今では、それ以外にもいくつもシステムがあるのですが、特徴的なものは全店に設置されたタッチパネルです。

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イタリアの植木鉢をモチーフにデザインしたもので、来店されたお客様向けのサービスを提供する端末です。そして実は、従業員向けの管理端末としても機能するんです。

我々は、すべての店舗で、近所に住んでいる主婦をはじめとしたパートスタッフを2名程度採用し、5時~22時のうち、好きな時間を選んで、1時間だけ店舗で勤務してもらうというオペレーションを敷いています。この勤務形態を実現しようとすると、労務管理と業務報告が問題になるわけですが、この来店客向けのタッチパネルを従業員向けにも使えるようにすることでその問題をクリアしました。スタッフはお店に行き、タイムカードを押す代わりにこの端末にログインすればいいわけです。他にも、従業員への情報伝達ツールとしても機能しており、たとえば翌日からセールを出す店舗では、セール用のポップを出すという指示がタッチパネル上に表示されるといった使い方をしています。

小林:この管理システムは自社で開発されたのですか?

児玉:いえ、自社開発ではなく地元の開発会社に依頼しました。無人の店舗ながらも、有人の店舗と同様のサービスレベルで対応するという発想の下、こういったシステムを開発しています。

合わせて、本社にはインハウスでコールセンターも抱えています。365日24時間、店舗でトラブルがあれば遠隔で即時に対応できる体制を取っているのです。

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朝倉祐介(シニフィアン共同代表):コールセンター業務はアウトソーシングの対象となりやすい業務ですが、御社の場合はサービスのコアとなる機能として重視されているということでしょうか?

児玉:その通りです。我々は、遠隔操作が可能なシステム・オペレーションとリアルな店舗を結び付けることで、顧客によりよいサービスを提供する会社だと自負しています。したがって、コールセンター業務はエンドユーザーへのサービスレベルを決めるコアとなる業務だととらえています。