【GameWith】社長が一番のゲーマー。GameWithの事業方針を決める今泉社長の徹底したユーザー目線 Vol.2

(ライター:福田滉平)

記事の量産から質追求への方針転換。ユーザー目線が見つけたPVの再成長

村上誠典(シニフィアン共同代表。以下、村上):スタートアップを経営する中で、最初に決めた方針をどこまで続けるか、どのタイミングで変えるかというのは、重要な意思決定だと思います。当初、1日の記事作成数とPVをKPIにしていた時に、1000万PVの段階で岐路に立ったそうですね。ただ、1000万PVという数字を「成功している」と捉えることもできたと思うんです。そうした中で、どうしてGameWithを変えるという決断をしたのでしょうか?

今泉卓也氏(GameWith代表取締役社長。以下、今泉):当時はQ&A方式の記事をたくさん書いていました。「何記事作って何PV取る」ということをKPIに、記事を量産していたんです。しかし、ある時ふと、自分たち自身がGameWithを使っていないことに気がついたんですね。

僕は創業後も毎日ゲームをプレイしていたのですが、自分が攻略サイトを探した時に、確かに自分たちのサイトは検索エンジンで上位に表示されるし、会社的にもトラフィックは伸びていました。ただ、自分たちにとって今のGameWithはベストなサイトではない。そう思ったんです。

村田祐介氏(GameWith取締役。以下、村田):当時はパズドラが出て1年、モンストが出て数ヶ月。ブラウザゲームの全盛期からスマホのネイティブゲームの時代に移った時期でした。ユーザーの獲得手段が変わり、攻略サイトの需要が上がってきた時だったんです。ファミ通やAppBankといった企業によるサイトもある中で、個人の攻略サイトがドラクエやFFのような大型タイトルで5000万PVくらい稼いで、アフェリエイトで儲かっていた仕組みがありました。そうした仕組みを僕らが提供できないかと考えたんです。

こういった背景があって、創業時はとにかくユーザー数を獲得していくためにQ&Aでの成長を求めていました。そこで、考えていたのがとにかくSEOだったんです。とにかくSEOで集客して、ユーザーのゲームタイトル間での移動を促せないかと。ゲームごとにコミュニティーができていたので、新しいゲームが出てきた時に、そのコミュニティーごと新しいゲームに引っ越すことを促すのも可能なのではないかと考えていました。しかし、当初はSEOが機能して初速で伸びたのですが、すぐ頭打ちになりました。

今泉:PVが伸び悩んだ時に、このやり方は違うと思いました。数字は確かに増えていたのですが、ほかの攻略サイトの方が明らかに良い記事を出していたんです。そこで、記事の数は必要ないと結論づけました。

本来、ユーザーは答えが知りたいだけなのに、Q&A形式の記事を量産してしまったことで、1つの質問に対する答えをいくつも提示してしまいました。攻略サイトには、正しい情報が一つあればいいのに、2個も3個も4個もという状態では、ユーザーを混乱させてしまうだけです。そこから1つの記事を更新して、ブラッシュアップしながら磨き上げていくスタイルに変えました。記事の質を重要視していると、自ずと記事本数を追えなくなっていきます。

村上:記事本数は追わなくなりましたが、結果として、PVは伸びたんですね。

今泉:PVは結果でしかありませんが、PVを上げようと考えた時に、まずはユーザー目線に立って記事を書くことにしました。そのように考え方を変えてから、一気にPVは伸びたんです。

村上:どのタイミングで、記事の質を重視するという方針がうまくいっていると感じられましたか?

今泉:実験的に攻略サイトという形式を試してみたところ、色んな攻略サイトを見ていても、「うちのサイトが一番いいな」と、ある日思ったんです。数ある攻略サイトの中で、うちのサイトが一番まとまっているなと、客観的に見てそう思いました。その後の結果が出るのは早くて、攻略サイトを始めて2ヶ月くらいでPVは再成長し始めました。

自分の気持ちとフィットするかどうか。方針転換のポイント

村上:こうした方針転換の判断は、社内が一枚岩になる時と、バラバラになる時とがあると思うのですが、その時はどうだったんでしょう?

今泉:反対意見もありました。僕の言っていることがぶれていると。もともとQ&Aサービスをやっていた時には、「GameWorks」という、クラウドソーシングのような、ゲームの攻略情報を一般ユーザーに書いてもらうサービスも作っていました。「せっかく『GameWorks』を作ったのに、意味がないじゃないか」という声も社内からありました。

村田:ただ実際のところ、一般の個人の攻略サイトにしても、トップで勝っているプレイヤーは、寝ずにゲームを攻略して書いている人達でした。そう考えると、僕ら自身が品質の高い攻略コンテンツを作りに行く仕組みというのを作れば、それが1番良いのではないかと。

朝倉祐介(シニフィアン共同代表。以下、朝倉):創業当時の仮説と今のビジネスを比べてみると、やり方は大きく変わりましたが、どのくらいが創業当初の思惑通りに進んでいますか?

今泉:基本的なところは当初の目論見通りかなと思っています。Q&Aをやめたりと、ユーザーに対するアプローチの仕方は変わってますが、攻略を軸にユーザーを呼び込んで、その上にコミュニティだとか、様々なコンテンツを増やしていくという、当初の仮説は変わっていません。ユーザーを集めてプラットフォームを目指していくという方向性は当時と同じです。

朝倉:当初に持っていた仮説に固執するのか、事業の方針転換をするのか、その判断は難しいと思います。こうした判断をする際の軸って何なんだと思いますか?

今泉:経営者である自分の気持ちかなと思っています。周りからいくら「うまくいかない」と反対されても、「これが正しいんだ」と自分が思えば変えるべきだと思います。僕の場合は、Q&Aという、ユーザーに任せたCGMでサイトを広げていくということに、一ユーザーとして使っている中で疑問を感じていました。実際、数字も伸び悩んでいましたし。そこで、KPIを変えようと踏み込んだんです。

一方で、自分は絶対こうだと信じているのであれば、たとえ数字がついてきていないとしても、続けてやるべきだと思います。

村田:創業時から今に至るまで、今泉さんはずっとユーザー目線なんです。僕ら自身がゲーマーからスタートして、ゲーマーとして攻略サイトって必要だよね、といって始まったからこそ、ユーザー目線に立ち返った時に欲しいものはこれだ、と転換することができました。

今泉:常にユーザーのニーズに向き合ってプロダクトを作るべきだと考えています。例えば、「今日やっているイベントの一番良い攻略法が何なのか」を最速で知らせる。広告だけではなく、本当におすすめできるゲームを紹介する。利益やビジネス的な思惑だけでなく、それは「ユーザーのためになっているか」、度々振り返るんです。

村田:ユーザー目線というのが大事です。そうした視点に立った情報の提供を組織で愚直に提供し続けたら勝てると考えて続けてきたら、すごく成功したと。

パブリッシャーと共に考える、ゲームの継続性

小林賢治(シニフィアン共同代表):一方で、パブリッシャーとの関係をどう置くか、というのはナイーブだなと思うんです。ユーザーにバリューをというと「なるほど」と思うのですが、パブリッシャー目線で言うと、「送客と言うが、自分たちのゲームが攻略サイトに送客してるのではないのか」と思うところや、「勝手にゲームの解析をしないでくれ」だとか、折り合わない部分もあると思います。逆に、例えば、公式グッズをつくってみたりと、パブリッシャー側とがっちり関係を構築することもできると思います。そうした、パブリッシャーとの関係性については、どう考えていますか?

今泉:ユーザー目線で突き抜けるだけでなく、ユーザーに対しても、パブリッシャーに対してもWin-Winになれるコンテンツというのを心掛けています。例えば「バグを使った裏技」といった、いくらユーザーが求めてもゲームとしてマイナスになることはしません。

ゲームあってこそできているビジネスなので、「どうやったらゲームを成功させられるか」という視点でパブリッシャーと並走していきたいと考えています。

村田:攻略サイトとパブリッシャーの関係性で言うと、攻略サイトは、20年前くらいから存在していたのですが、パブリッシャーは、ユーザーを増やしてくれているサイトがある、とその存在を認識しながらも、当時からどう有効活用するかは各パブリッシャーごとに違ったと思います。

「攻略サイトにどんどん情報を出していこう」というパブリッシャーもいれば、中には「自社の運営コストをかけずに、外部でユーザーを増やしてくれている」と考えているパブリッシャーもあります。そこは、それぞれの企業の温度感とそれぞれコミュニケーションしている感じですね。

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