【Fringe81】6月にマザーズ上場。田中弦社長に聞く上場の意義と、ただのアドテクではないユニークさ Vol.1

Fringe81は、ネットエイジ(現ユナイテッド)グループ のRSS広告社として2005年4月に設立。2010年4月、Fringe81に社名変更。2013年3月、MBOによりユナイテッドから株式を取得して独立。2017年6月、マザーズ上場。「新しい発見をもとに、地球の未来を創る集団」をビジョンとして、広告代理業に加えてメディアグロース事業、ウェブサービス、ソリューションサービスを提供する。資本金334,913,980円、従業員数131名(2017年3月31日現在)。

田中弦(たなか ゆづる)
代表取締役CEO兼CCO(Chief Camera Officer)
ソフトバンク内定者時代に作成していた個人ホームページをEastVentures松山太河さん(当時はネットエイジ社取締役)に発見された後、ネットベンチャーに目覚める。99年にソフトバンク株式会社のインターネット部門採用第一期生としてインターネット産業に関わるようになる。新卒2日目からブロードキャスト・コム(現Yahoo!動画)の立ち上げに参加。その後半年でソフトバンクを退社し、ネットイヤーグループ創業に参加。2005年ネットエイジグループ(現UNITED)執行役員。モバイル広告代理店事業の立ち上げにかかわる。2005年Fringe81社創業後、様々な事業の立ち上げを行う。2013年3月マネジメントバイアウトにより独立。過去15年、一貫して立ち上げに関わり続けている生粋の立ち上げ屋。趣味はカメラ。社内での呼称は「ゆづるさん」。「社長」と呼ばれても振り向かない。

インターネットの黎明期からこの業界に関わり続けてこられた田中社長。同氏が立ち上げたFringe81は既に設立から10年超がたち、古株と呼ばれてもおかしくない中、新たな事業にチャレンジしつづけ、むしろどんどん勢いを増してきています。上場間もないFringe81を訪ね、その勢いの源について田中社長に伺いました。

(ライター:石村研二)

複数の事業をやることが強みであり難しさでもある

小林賢治(シニフィアン共同代表。以下、小林):まずは上場おめでとうございます。上場に際して提出なさった「成長可能性に関する資料」についてですが、かなり丁寧に御社の事業内容が説明されていますね。

田中弦氏(Fringe81代表取締役CEO兼CCO。以下、田中):基本的には目論見書を見やすくまとめたものですが、僕たちのやっていることは目論見書を見ただけではなかなかわかりにくい点もあると思います。この資料を通してFringe81という会社のことが多くの人に伝わればと思っています。
僕らが機関投資家に説明するときに一番苦労したのって、アドテクの会社が来たと思われてしまうということです。でもよく見てもらえばそうじゃないってことがわかってもらえる。そのためのロードショーマテリアルとして、この資料が使ってきたんです。

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小林:たしかに、この9ページと10ページを見ると、ただのアドテク企業では終わらないことがわかりますね。面白いスライドだなと思いました。

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田中:そうですね。売上で言うと広告代理事業が86%なんですが、限界利益、(ここの文脈でいうと)実質的には粗利で見ると半分くらいです。それに対して、メディアグロースは約10%の売上の一方、粗利では約三分の一を占めています。しかもここが急速に伸びているんです。普通の会計基準でやってしまうと、この複数の事業をやっていてそれぞれ利益率が全く違うという部分は見えない、それを見せることがポイントだと思ったんです。

小林:メディアグロース事業というのは具体的にどのような事業なんですか?

田中:メディアグロース事業は、資料の17ページに説明がありますが、システム開発、商品設計、販売の3つの事業領域をワンストップでメディアに提供する事業です。この3つ全てを任せていただいてもいいですし、どこか1つあるいは2つだけをやるのでもいい。メディアさんの側でシステム開発は自社のエンジニアがいるからいいという場合もあるし、営業はいるからシステム開発と商品設計でいいという場合もあります。今までですと、SmartNewsさんなどでの実績があります。

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小林:最近上場する企業の中には、単一の事業と会社が完全に密結合していることも少なくないですよね。それに対してFringe81は、複数の事業が組み合わさっていますね。

田中:色々なものが組み合わさっているのがうちの会社の特徴なんです。その分、コングロマリットディスカウントが起きてもオーケーと捉えています。わかりづらいんだから仕方がないと。だけど、ちゃんと説明すればわかってもらえるので、機関投資家を回って自分たちはこういう会社なんだということを丁寧に説明していくことが大事なんです。

MBOによる変化と上場への道

小林:子会社としてスタートして、その後MBOによってオーナーシップを持ったわけですが、それによって変わったことはありますか?

田中:子会社時代は利益をわずかでも出す必要がありました。子会社から外れたタイミングで資金調達を同時にして、ひたすら研究開発をすることで赤を掘ったというのが一番違うところでしょうね。MBOを機に、研究開発費がものすごく増えているんです。

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「成長可能性に関する説明資料」8ページ。オレンジの点線より左側が子会社時代、右側がMBO後

それでも上場前期には黒字転換しました。あとはビジネスさえ延びていけば、他の広告業よりも高い収益性を確保できるということを、投資家の皆さんにはご説明しています。

村上誠典(シニフィアン共同代表):このタイミングで上場したのはなぜなんでしょうか?敢えてもう少し遅らせるという選択肢もあったと思うのですが?

田中:タイミングの判断としては、中間マネジメント層で任せられる人材が20人を超えた時点というのがありました。メインの5事業でそれぞれ2事業部あることを考えると、20人いれば10の事業が回せますし、それだけの人材がいれば次のビジネスも仕掛けていける。そのタイミングが今だったんです。

小林:人を軸にして事業開発や資本政策を考えているんですね。普通の会社に質問すると、売上や業績という答えがメインになると思うんですけど、ユニークな点ですね。

田中:それはそうですね。

小林:会社の未来を考えたときに、今回の上場の意義をどう捉えていますか?

田中:「事業を堂々とやれるようになる」ということですね。社内でも言っているんですが、上場して会社が何千人何万人のものになるということは、われわれの特殊なコンセプトを大手を振って堂々とやっていくチャンスがやってくるということだと思うんです。うちの会社は黒子なんですよ。メディアグロースにしてもメディアがあってこそであり、広告もお客さんあってこそなので。それをこれからは堂々と「うちは黒子です!」って言えるようになる。それは黒子なのか?っていうのはありますが、それを堂々と言えるようになるのが上場する意義なのだろうと思います。

小林:それはIRにも言えることですか?ステークホルダーが増えていく中で、株主との関係にも変化があると思うのですが。

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田中:少しわかりにくさのある事業ではあるのですが、投資家の方にちゃんと説明すると、会社の取り組みについて理解していただけるんですね。上場して改めて感じたのは、ちゃんとやるというのがいかに大事かということです。本当に身にしみて感じました。堂々とやるというのは派手にやるということではなくて、ちゃんとやってますよということを堂々と見せることだと思うんです。だからIRはこれからも地道にやっていきます。

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