【ビープラッツ】複雑化するサブスクリプションモデルを支える決済プラットフォームvol.1

IoT、クラウドコンピューティング、MVNO、シェアリングエコノミーなど、新技術が現れ、ユーザーの利便性が高まる一方で、決済システムの管理は複雑化していきます。この状況をチャンスとし「サブスクリプションをすべてのビジネスに」というミッション掲げたのが、ビープラッツ株式会社。新技術を決済面でバックアップするという現在のビジネス形成の経緯と今後の展望について藤田 健治CEOにお話を伺います。 事業の詳細な説明は、「成長可能性に関する資料」を御覧ください。

藤田 健治(ふじた けんじ)
ビープラッツ株式会社CEO&Founder。1969年生まれ。
1992年、三井物産株式会社入社。日本ユニシスやシマンテックなどのIT分野を担当。2002年にはライセンスオンライン株式会社を設立。代表取締役として4年間で売上げ50億円を創出。2006年に三井物産を退職。同年11月、ビープラッツ株式会社を設立し、代表取締役に就任。

2006年創業のビープラッツ株式会社は、「サブスクリプションをすべてのビジネスに」というミッションを掲げ、サブスクリプションの決済プラットフォームを展開している。IoTやクラウドサービスなどの新技術の発展に伴い、今後より複雑化していく決済システムをサポートする。2018年に東京証券取引所マザーズ市場に新規上場。証券コードは4381。

(ライター:中村慎太郎)

三井物産退職後、サブスクリプションの黎明期に立ち会う

村上誠典(シニフィアン共同代表。以下、村上): 御社はサブスクリプションやIoTなどの最近のキーワードにフォーカスされていますが、創業自体は12年前とのことです。まずは、創業の経緯について伺いたいと思います。

藤田健治(ビープラッツ株式会社CEO&Founder。以下、藤田):私は三井物産の出身で、情報産業本部という部署にいました。当時は、一人一台のパソコンを導入し始めた時代で、それぞれにセキュリティソフトを導入しなければいけなかったのですが、みんな不慣れであるため導入方法がわからなかったわけです。ソフトウェアの利用料を毎月払うという発想がまだなかった時代ですね。この仕事が原体験になって、現在サブスクリプションを扱うに至っています。

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当時、ソフトウェアの提供方法がダウンロード提供や法人向けのまとめ売り(ライセンス販売)などに多様化しつつあり、ライセンスオンラインという社内ベンチャーを起業し、私は2002年から2006年まで4年間、その会社の社長を務めておりました。三井物産の子会社の代表としてIT企業デビューしたわけですが、社内ベンチャーですので、4年経つとローテーションで三井物産へと戻るという話になりました。しかし、今後もITの領域では、ベンチャーとしてのスピード感をもって事業を立ち上げていきたいと思いがあったので、その時点で退職して、ビープラッツ株式会社を創業しました。

Google のエリック・シュミットがクラウドという言葉を使ったのが2006年ですが、この年の9月に起業をしました。私たちは、当時「SaaSの楽天になろう」という目的を立て、 ASP と呼ばれていた、お客様ごとにサーバーを立ててソフトを提供するモデルから 、SaaSとして提供されるようになった様々なサービスをワンストップで提供できるマーケットプレイス提供モデルを指向して進化することを目指しました。

SaaS(サース):Software as a Service。インターネットを介して、ソフトウェアの必要な機能を必要な分だけ利用する提供形態。

(ビープラッツ「成長可能性に関する説明資料」より)

ただ、最初はなかなかうまくいきませんでした。5ページのグラフを見ていただければわかるかと思います。まだクラウドという技術が浸透していなかったのもあって、まだまだ、日本においてSaaS単体で収益をあげているメーカーは少なかったんですよ 。まだ、SaaSという分野だけでプラットフォーマーがやっていけるタイミングではなかったわけですね。

そこで、別のビジネスを模索しようということになり、企業と顧客の間に入って他社の商品を売る商社のような仲介モデルから、売買のプラットフォームを提供するシステム屋になったということになります。

村上:では、最初期から、ソフトウェアの売買であれ、物の売買であれ、「売買のプラットフォーム」となる、という点では、事業領域は一つに絞っていたということでしょうか。

藤田:いえ、一時期、プラットフォーム事業以外の事業もやっていました。ですので、過去の売上実績は、構造上はちょっとわかりづらいところがあります。2014年以降は、現在のビジネスに集中しています。現在の収益モデルは、大きく二つに分けると、当社の直接のお客様である事業者から頂戴している初期費用と月額の固定費というプラットフォーム使用料と、その事業者であるお客様が、最終エンドユーザーに販売された金額の当社への手数料、つまり決済会社的な収益、この二つになります。

我々の事業はクラウドサービスの普及に伴い発展してきていますが、複雑なクラウドサービスの販売管理、使った分だけのといった従量型の課金決済への対応が出来るのであれば通信事業参入者向けのプラットフォームとしても対応ができるのではないかと通信事業者からお声がけを頂き、対応しました。規制緩和により、新たに通信事業に参入される事業者は、通信事業に関するノウハウを持っていないわけですが、我々のプラットフォームを使えれば参入が容易になります。これにより、急速にお客さまが増えていきました。

そうこうしているうちにIoTが出現したわけですが、IoTに参入する事業者ではどうしても、サブスクリプションに対応した販売管理、顧客管理などを統合した決済パッケージが必要になります。メーカーからすると、これまでは先に原価が確定して製造した「モノ」をエンドユーザーに売るというシンプルな決済・計上の仕組みで成り立っていたことと比較し、IoTでは、メーカーが仕入れるのはモノにとどまらず、外部の通信サービスやクラウドサービスといったサービスも含まれることになります。エンドユーザーにモノを売った時点で決済が完結せず、サービスを使う過程でその利用した分に適合した、決済が発生し続けることになるので、我々のプラットフォームが役に立つということですね。

最近サブスクリプションという言葉も多少一般化してきたと思うのですが、我々が言う「サブスクリプション」は、毎月500円を請求するような定額の課金サービスの管理ができる仕組みとは少しポジションが違っています。

事業者が管理する必要があるサブスクリプションサービスもハイブリットで複雑な分野へと移行していると言われています。どういうことかというと、携帯電話のように通話料が毎月変わるとか、契約期間が2年あった場合に2ヶ月前にやめたら解約料がどうなるかとか、あるいは、クラウドサービスのマイクロソフトのAzureになると、毎月どんどん商品が増え、今では2万種類の商品構成について料金を計算しないといけないというようになってきています。つまり、一つのサービスの取扱いでも非常に複雑で面倒なわけですが、これをまとめてシステムで計算し、お客様にワンストップで決済できるのが我々の売りになるわけですね。

朝倉祐介(シニフィアン株式会社共同代表):サブスクリプションというとNetflixやSpotifyのような定額サービスをイメージしてしまいますが、それらとは違うということですね。

藤田:その通りです。もちろん、定額のサブスクリプションにも対応できますが、更に複雑な管理を必要とする事業者向けが、当社の主な顧客層ということになります。

2013年に選択と集中を行い、第二創業期へ

村上:資料を拝見すると2011年頃から徐々に売上が伸び始め2013年度には一定の売上が確保できたように見受けられます。ですが、その後、2014年度に一度売上はダウンしていますね。その後、また持ち直したようですが、この2014年度の売上ダウンはどういった理由があるのでしょうか。

(ビープラッツ「成長可能性に関する説明資料」より)

藤田:そうですね。2012年・13年当時は、音楽関連事業をオンライン販売という観点から取り組んでいた経緯があるのですが、2013年にはすべて撤退致しました。2014年3月期以降は、現在のサブスクリプション事業のみの売上になっています。また、2017年の3月だけ赤字になっているのは、新たな拠点の開設や、従業員の採用費などの一過性のコスト増に由来しています。

村上:なるほど。御社の沿革を拝見しただけでは、なかなか全貌がつかめていなかったのですが、ようやくわかりました。創業から12年ではありますが、2013年3月期に一度事業のあり方を変えているので、今展開している事業をベースに考えると5年目という理解をしたほうがいいのかもしれませんね。

藤田:そうですね。2013年の3月期がなければ説明しやすいのですが(笑)

村上:上場前の先行投資として2017年の3月期は赤字になっていますが、それ以外は基本的には右肩上がりですね。