INTERVIEW

【うるる】新規事業の立ち上げに適した採用・育成 Vol.3

2018.03.18

『人のチカラ』で世界を便利にするという理念に基づき、BPO、クラウドソーシング、そしてCGS(Crowd Generated Service)の運営を行う株式会社うるるの星知也代表取締役へのインタビューの第3回。前回の記事はこちら

(ライター:中村慎太郎)

発想豊かな野武士、求ム

村上誠典(シニフィアン共同代表。以下、村上):御社は常に幾つかの新規事業を並行して開発されているということですが、新規事業は管理が難しく、また筋の良い事業を生むのも大変難しいと思います。この2点に対しては、何か工夫をされていますか?

星知也(うるる代表取締役。以下、星):管理する観点では、先ほど述べたように複数の新規事業を4つのフェーズに分けて、投資ルールを定めています。が、実際には、けっこう属人的で、誰かが一人で進めていたものが、いきなり第3フェーズに進むといったケースもあります。仕組みは作っていますが、最終的にはそこで作る人の趣味嗜好や経験に依存しているところも多いのです。

また、新規事業をゼロから立ち上げること以外にも、M&Aも視野にいれています。

朝倉祐介(シニフィアン共同代表。以下、朝倉):新規事業を生むには、人が重要ということですね。採用にも力を入れていらっしゃるのでしょうか。

星:今まではやっていなかったのですが、今年から新卒採用を始めました。人の育成や採用に力を入れ始めたところです。

村上:アントレプレナーシップが強い人に来て欲しいわけですね。

星:実は、優秀な人材を採用するための一つの手段が上場でした。上場すればより優秀な人材が入社してくるだろうと考えていました。ただ、ですね……。上場すると、安定志向的な優秀な人材が入ってくるわけですね(笑)

朝倉:上場あるあるですね(笑)。我々も別の企画で話したことがあるのですが、上場前は一攫千金を狙って「野武士」が来るんですよ。安定的にオペレーションをするのが向いているかどうかはわかりませんが、非常に元気があって事業を推進する人たちですね。

一方で、上場すると、上品な「お公家さん」が来るわけです。『信長の野望』で言えば、柴田勝家みたいな人に来て欲しいのに(笑)。

星:まさしく(笑)。それをいま実感しています。母数は増えましたが野心的な人材の選別に苦労するようになりました。

村上:クラウドソーシングの会社というと、安定志向なイメージがあるのかもしれませんね。しかし、実際にやることになるのは、イノベーティブな仕事なわけです。こうなると、社外へのブランディングや、社内でのインセンティブの張り方も難しいかもしれませんね。ビジネスごとに子会社化して、株を渡すというやり方ができればいいのですが。

朝倉:株式会社うるるBPOという子会社を設立されていますが、これは会社を切り分けて一国一城を作ったということでしょうか。

星:まさしく。今後もそういった選択肢は考えています。

朝倉:サイバーエージェントのように若い人に事業を作ってもらい、子会社社長として事業を回すところまでやってもらうというイメージに近いかもしれませんね。

星:そうですね。本当にこんなサービス作れるのかという突飛な発想を持った人材が欲しいですね。というのも、在宅ワーカーを活用したサービスが今まで世の中になかったため、今までだと我々が手がけるような新規事業は実現できなかったんです。発想が豊かな人が弊社に来ると、きっと面白いと思いますよ。

CGSの未来:人のチカラにテクノロジーを掛け算

朝倉:「NJSS」がしていることは、本来であれば官公庁が自分でやるべきことですよね?

星:国が無料で一括検索サイトを提供しているので、あるにはあります。ただ、情報が網羅的でなかったり、使いづらかったりするわけです。

朝倉:「NJSS」では日本全国の入札情報をどの程度カバーしていますか?

2018年3月期 第2四半期決算説明資料より

星:ほぼ100%です。「人力」でやることである以上、抜け漏れもゼロではないのですが、人材育成にも力を入れていることもあり、機械で集めるよりも精度が高いです。

村上:最後に、経営管理や組織づくりについて伺わせてください。色々な事業がミルフィーユのように多層的になっていく中で、今後は組織のガバナンスがより重要になるのではと感じたのですが、いかがでしょうか?

星:ベストな形を目指し改善を繰り返しているところです。例えば、当初はエンジニアについては、横串の組織でした。それを事業部専属に変えてみたり、ロイヤリティを変更してみたりなど、試行錯誤しています。

村上:クラウドワーカーの管理以上に、御社内の組織管理が実は一番大変なのかもしれませんね。

星:我々は、創業以来、組織作りに非常に力を入れています。「会社はホーム 社員はファミリー」というような標語(=うるるスピリット)がありますし、そのスピリットを浸透させるためにイベントを行い、社員が納得して働けるような環境作りについてはずっと力を入れています。正直、何もしなかったらバラバラになります(笑)。

朝倉:今後、ますます事業が広がっていく中で、組織の遠心力が働きすぎないように、強いカルチャーが必要になるということですね。事業が広がり会社が次の段階に進む成長痛なのかもしれませんね。 今日は御社の可能性について詳しくお話しいただき、ありがとうございました!