INTERVIEW

【みらいワークス】プロフェッショナル人材のライフステージを支えるエコシステム Vol.3

2018.02.09

「プロフェッショナル人材が挑戦するエコシステムを想像する」をビジョンに掲げ、フリーコンサルタントのための案件紹介サイト 『FreeConsultant.jp』を運営するみらいワークス。岡本社長に、同社のビジネスの特徴や今後の展開について伺うインタビューの第3回(全3回)。前回の記事はこちらです。

(ライター:福田滉平)

仕事のチャンスを提供していたらビジネスになった

小林賢治(シニフィアン共同代表。以下、小林):どういった経緯で、プロフェッショナル人材の働き方ということに注目されたのですか?

岡本祥治(みらいワークス代表取締役。以下、岡本):最初から狙ってこのビジネスモデルを作ったわけではありません。当初は失敗も繰り返していました。例えば、システムの請負に近いようなビジネスをやったこともありますし、エンジニアの派遣を行っていたこともあります。試行錯誤した末に、このビジネスモデルになりました。 私はコンサルを辞めて、10年前に起業したのですが、仕事を取っているうちに、自分では手がまわらなくなり、周りの人に頼むようになったんです。そしたら、頼んだみなさんから「ありがとう」と言われたんです。 コンサルタントとしてお客様から「ありがとう」と言われたことはありましたけど、それよりも、人にチャンスを提供して「ありがとう」と言われるのが嬉しくなってしまいました。「俺はこっちのほうが良いや」と思ってやり始めたのがきっかけです。

また当時、マッキンゼー出身の小川政信さんという方と一緒にプロジェクトをやる機会があったのですが、彼はすごく仕事ができるんです。頭が良すぎて、ロジックの組み立てについていけない。個人コンサルタントとしてやっていこうと思ったら、究極的には、こうならないといけないのか、これはどうやっても無理だなと思ったんです。一方で、自分より優秀なコンサルタントは世の中にこんなにもいるんだから、その人達に場を提供するほうが、よっぽど世の中のためになるじゃないかとも思い、今のビジネスモデルができたのです。 一時はエンジニアの派遣や、SIerのような仕事も受けていましたが、どれもレッドオーシャンでした。そこで他のビジネスモデルを全部捨てて、他社がやっていない、我々が一番得意なプロフェッショナル人材へのコンサルティング・プロジェクトの提供に特化し、単一モデルで勝負しようと考えたんです。そこからは、一気にIPOできる規模まで成長しました。

プロフェッショナルのためのコミュニティづくり

朝倉祐介(シニフィアン共同代表。以下、朝倉):プロフェッショナルの方にとっての御社の価値は、仕事を取ってくれることにあると思うのですが、その他に御社のプラットフォーム上で働くことの恩恵というのは、あるのですか?

岡本:そこが今、我々がチャレンジしているところです。 1つはコミュニティづくりで、毎月、独立プロの方、20~30人に来ていただいて、横のつながりを作るためのイベントを開催しています。 独立してしまうと、ネットワークづくりに苦労するのですが、積極的にネットワークづくりをする方には営業目的の方も多いので、独立した人にとって良いネットワークって無いなと思いまして。

朝倉:なかなか、良いつながりに巡り合うことはないですよね。

岡本:我々のモデルだと、それなりのビジネス経験を持っている方や起業をされてきた方ばかりですので、そこで仲間づくりや、情報交換をしていただいたり、毎回ゲストスピーカーの方を招いて、お話をしていただいたりもしています。 それ以外には、税理士の方を紹介したり、記帳代行のアライアンス先を紹介したり、そういった仕組みは作っているのですが、そこは、まだまだこれからだなというところですね。

プロフェッショナル人材が挑戦できるエコシステムを作る

朝倉:最後に今後、事業を拡大するうえでの構想をお聞かせいただけますか?

岡本:現状のコンサルティング領域の業務委託というマーケットだけで見ると、限界があると思っています。コンサルの市場規模というと、日本では6000億~7000億といった規模ですので、その2割がフリーランスのプロフェッショナル人材になったとしても、1000億円を超える程度です。 しかし、これをフリーランサー全体に広げて考えてみると、状況が変わります。経産省の発表では、今、日本には、1000万人以上のフリーランサーがいると言われています。日本の全労働者の中での800万円以上稼いでいる人が9%と言われていますが、仮にフリーランスの中で年間800万円以上の収入を得ている人を9%と見積もると、だいたい100万人くらいの方がいる計算になります。 これくらいの方々を対象にサービスを提供すると考えると、十分大きなマーケット規模があります。そこで業務委託に留まらず、再就職や、起業の支援など、ライフステージに合わせた彼らのサポートを全て提供していくような構想を考えています。 我々は、これを「プロフェッショナル人材が挑戦できるエコシステムを作ろう」という言い方をしています。 業務委託だけでやっていくと、どこかで頭打ちしてしまうことでしょう。そうではなく、あくまで人にフォーカスし、プロフェッショナル人材のキャリア全体をサポートできるようなプラットフォームとして、人が必要としているサービスを作っていくということが、今、我々が考えていることです。

みらいワークス「成長性に関する説明資料」より

小林:確かに、私の周りでもそういったフリーランスの人をたくさん見てきました。出産育児で仕事の時間を一旦減らして、子どもが保育園に通い始めたところで、再び仕事に割く時間を50%くらいまで上げて、子供が16歳になったらもっとギアをあげる、といった働き方をしている女性の元コンサルタントが、私の知り合いにも何人かいます。

岡本:そういう意味ではプロの方々に長い人生の中で、一貫して働いていただけるように、ライフステージに合わせたフレキシブルな働き方を実現していきたいと思っています。

朝倉:「プロフェッショナル人材が挑戦できるエコシステム」が機能しだすと、ある程度経験を積んだ人材が、企業に所属する以外の選択肢として「みらいワークスを使ってフリーランスの働き方にもチャレンジしてみよう」と考えるような世界にまで持っていけるかもしれませんね。

岡本:今の日本は労働人口が減り始めており、経済成長もかなり鈍化しています。これでは今後、発展途上国にどんどん抜かれてしまいます。今、小学校、中学校の段階からプログラミングを教えるなど、国際競争力を高めようという様々な試みがされていますが、その子ども達が大人になった頃には、日本は世界から置いていかれているのではないかという危機意識を持っています。 だとしたら、プロフェッショナル人材の方々をもっと活用しながら、日本の経済を底上げするということを、今、目の前でやらないと、日本は沈んでいってしまうのではないでしょうか。 そういう意味でも、国全体として、プロフェッショナル人材のアサイメントを最適化していかなければならない。そのときに、我々は、社会のインフラになる気概で長期的にやっていく必要があると思っています。個々人の力を見渡せば、まだまだ日本にはリソースがたくさん散らばっていると思います。それを最大限活用できるようにしてきたい、というのが我々の願いですね。

朝倉:たまたま周りの人たちに仕事の機会を提供していたら、それがビジネスになり、また日本の労働問題や経済成長の課題に取り組む事業に成長してきたというのは、面白い経緯ですね。 「プロフェッショナル人材が挑戦できるエコシステム」の構築、期待しております。

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