INTERVIEW

【みらいワークス】独立コンサルタントに新しい働き方を提供 Vol.1

2018.02.07

働き方多様化の必要性が盛んに指摘されている昨今の日本社会ですが、そんな中、フリーランスで働く「プロフェッショナル人材」のために、挑戦できるエコシステムを作ろうと取り組んでいる会社があります。みらいワークスは、フリーコンサルタントのための案件紹介サイト 『FreeConsultant.jp』を運営し、2017年12月に東証マザーズに上場しました。一見するとフリーコンサルタントを束ねるコンサルティングファームにも思える同社ですが、徹底してフリーランスに寄り添う姿勢が大きな特徴です。起業家を支える仕組みとしても機能しているという同社の事業と、プロフェッショナル人材のあらゆるライフステージを支えるビジョンについて、みらいワークスの岡本社長に伺います。事業の詳細については、「成長性に関する説明資料」をご参照ください。

岡本祥治(おかもと ながはる)

2000年に慶応義塾大学理工学部を卒業後、アクセンチュア株式会社に入社。 ITコンサルタントとして、基幹システム導入や、ITアーキテクチャー構築な どのプロジェクトに参画。戦略グループ転籍後は、事業戦略策定や新規事業立ち上げなどを推進。ベンチャー企業への転職を経て、2007年に株式会社オンサイドパートナーズを設立し、個人コンサルタントと して活動を開始。いくつかの事業立上げと失敗を繰り返した後に、独立プロフェッショナルの需要に着目し、プロフェッショ ナル人材サービス事業を立ち上げる。 2012年3月にみらいワークスを設立し、代表取締役に就任。

「日本のみらいの為に挑戦する人を増やす」を経営理念に、プロフェッショナル人材に特化したビジネスマッチングサービスおよび転職支援を行う株式会社みらいワークス。2012年の設立以来、フリーランスのコンサルタント向け案件紹介ポータルサイト「FreeConsultant.jp」、フィンテックコンサルタント向けプラットフォーム「FintechConsultant.jp」、転職希望のコンサルタント向けキャリアプランニングサポートサイト「ConsulNext.jp」、フリーランスの再就職支援サービス「大人のインターン」、独立と起業を選択肢に含めたキャリアアドバイス「「独立」「起業」「転職」あなたはどれを選ぶ?」といったサービスサイトを展開。6,000名以上の登録コンサルタントを誇り、2017年12月には東京証券取引所マザーズに株式を上場。証券コードは6563。

(ライター:福田滉平)

低コストで高スキルなコンサルタントチームを編成

朝倉祐介(シニフィアン共同代表。以下、朝倉):まずは、みらいワークスがどういった事業を行っている会社なのか、お聞かせいただけますか?

岡本祥治(みらいワークス代表取締役。以下、岡本):みらいワークスは、フリーランスとしてとして働くプロフェッショナル人材に新しい働き方を提供する会社です。基本的なビジネスモデルは、クライアントの要望に応じて、6000名以上の登録者から我々が最適なチームを組成し、大手コンサル会社の3分の1程度の低コストでコンサルティングサービスを提供するというモデルです。 外資のコンサルティングファームであれば、人月あたり400万~450万円が一般的だと思いますが、我々がクライアントからいただく金額は200万円以下です。しかも、10年以上の実務経験のある、コンサルティングファームのマネジャークラス以上の人材を提供してその金額なので、非常に安い。このコスト競争力が大企業のクライアント様からご好評をいただいております。

ご登録いただいているプロフェッショナル人材の方々にとっては、我々が提供するプロジェクトがプロフェッショナル人材向けの業務委託に特化していること、高スキルを活かせる高単価な仕事であることの2点が、価値となっています。実際、サービスを利用されているプロフェッショナル人材の90%以上の方から「満足している」という評価をいただいております。

朝倉:事業の形態としては、マッチングサービスになるのでしょうか?

岡本:「フリーランスとして働くプロフェッショナル人材を対象としたビジネスマッチングサービス」と説明していますが、実は、我々が業務委託で仕事を受けて、再発注するという形なので、厳密に言うと「マッチング」ではありません。日本の法律の下では、この「再発注」という仕組みを取らなければならないので、現在はこうしたモデルになっています。 もともとは、外資系コンサルティングファームの下請けから事業を始め、コンサルティングファームの中で人が足りていないプロジェクトに人材を提供していました。徐々にそのビジネスが拡大するにつれて、このモデルは別のマーケットでも行けると思い、まずSIerに進出しました。それを端緒に、市場規模が大きい事業会社向けのマーケットにも進出して成長してきました。 クライアントの売上構成比については、一部上場企業からベンチャー企業まで規模の様々な事業会社が売上の半分を占めています。残りは、コンサルティング会社とSIerを中心としたテクノロジー系企業という構成です。

起業家を支えるプラットフォーム

朝倉:登録者は6200名以上とのことですが、どういった方が登録されているのですか?

岡本:当初はコンサルティングファーム出身者の方が多かったのですが、今は事業会社のみで経験を積んだ方が多いです。 昔はコンサルティングファーム出身でないと、コンサルティングの仕事はできないと思われていましたが、今では一言で「コンサルティング」と言っても、パワーポイントで資料を作って納品する仕事よりも、社内プロジェクトの実行推進支援のような仕事のほうが多いんです。そうなると、事業会社出身の方でも、社内のステークホルダーの方々と調整をしながら物事を前に進めていく仕事はできます。クライアントサイドでも事業会社のお客様が増えてきたので、事業会社出身のプロフェッショナル人材が活躍する機会が増えてきました。 登録者の中には、スタートアップを経営している方もいます。例えば、マンションの一室で、2人くらいのエンジニアを抱えて開発をしている中、社長自身は業務委託で仕事を請けて会社を回しているという方です。今では有望スタートアップになっている会社でも、当初はそうやってお金を稼いできた、という会社は多いので、起業のあり方として、こうしたかたちも普通になってきているのではないかと思います。

朝倉:たしかに、私も最近上場した有名スタートアップの社長に、創業時にプロジェクトベースの仕事を紹介したことがあります。ソフトウェア開発などの場合、プロダクトを開発している間、非エンジニアの経営者がやることって実はそれほど多くないんですよね。会社を運営していくためのプロジェクトベースの仕事を併行するというのは理にかなっていると思います。

岡本:はい。我々としても起業家を支えるプラットフォームになっているのではないかと考えています。そういった中で、我々はどういった世界を作っていきたいか。 プロフェッショナル人材の方が次の挑戦の場所を探そうと思ったときには、かつては転職というのが一番の選択肢でしたが、今では、独立・起業という選択肢を取る方が非常に増えています。しかし、転職系のサービスはあっても、独立・起業までを含めたキャリアをサポートできるプレイヤーは多くありません。こういった環境を踏まえ、我々は、単に業務委託の仕事を紹介するだけでなく、独立・起業をした方に向けて、お金を稼ぐ手段の提供や再就職の支援を行っていくことで、キャリアを一貫してサポートできる唯一のプラットフォームになろうとしています。これが、いま我々が目指している姿です。

みらいワークス「成長性に関する説明資料」より

このプラットフォームを作ることで、どういった価値を提供できるのか。プロフェッショナル人材の方々に対しては、独立・起業・転職といった異なる働き方を一貫してサポートできる唯一の会社になれるはずだと考えています。また、クライアント企業に対しては、外部人材を活用して経営課題を解決しようという時に、様々な選択肢をワンストップでサービス提供できる会社になっています。

コンサルタントの引き抜き歓迎

朝倉:御社のように、コンサルタントとクライアントを繋ぐサービスを展開していると、両者が直接契約を交わして仕事をするといったことが起こるのではないですか?

岡本:我々の特徴的なサービスとして、ご紹介したコンサルタントが非常に優秀で、「是非うちに欲しい」という声がクライアント側から出た場合、その人材がそのままその会社に転職する、という選択肢も用意しています。 よくあるケースだと思うのですが、普通、クライアント企業が、コンサルティングファームから常駐している優秀なコンサルタントを、「うちの会社に来ない?」と誘って引き抜いたら、コンサルティングファームからは「何を引き抜いてるんだ」と怒られると思うんですよね。

朝倉:小林さんは、怒られた人ですよね?(笑)

小林賢治(シニフィアン共同代表。以下、小林):確かにいろいろありました(笑)

岡本:これが、みらいワークスでは全然OKです。どんどんしてくださいと言っています。その代わりに、35%の転職フィーをいただいています。この「業務委託でお試ししてみて、良かったら採用」というのは他の会社だとなかなかできないと思います。このモデルを「大人のインターン」というサービス名称で推進していますが、これも、新しい雇用の選択方法や、採用方法ではないかと考えています。

朝倉:こうした人材提供のビジネスだと、プラットフォーム側が中抜きされてしまうことが、ありがちだと思うのですが、それを一つのビジネスモデルとして組み込んで、正々堂々とやって下さいということですね。

岡本:そうです。初めから、その話はお客様にもしますし、「引き抜きたかったら引き抜いて下さい」と先に転職に関する契約も結んでいます。その1人を引き抜くために弊社と仲違いして取引をやめるくらいなら、長い目で見て、また良い人を連れてきてもらう方が良いという信頼をお客様から得ていれば、中抜きされる心配はありません。もし中抜きされたのなら、それは私たちが価値を提供できておらず、実力不足であるということです。 こうした仕組みを取ることで、三者にとってウィン・ウィン・ウィンな関係を作ることに、我々は今チャレンジしています。

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