INTERVIEW

【鎌倉新書】第三者的な立場で供養に関するニーズに応える Vol.2

2018.04.27

全国3000強の斎場、6000弱の墓地・霊園と提携、 5000以上の仏壇店を掲載し、ポータルサイト「いい葬儀」「いいお墓」「いい仏壇」を運営する鎌倉新書です。2017年9月から現職に就いた相木代表取締役社長に、高齢化社会が進む中での拡大戦略などについてお話を伺ったインタビューの第2回。前回の記事はこちらです。

(ライター:大西洋平)

これから成長が本格化するお墓、葬祭、仏壇の3事業

村上誠典(シニフィアン共同代表。以下、村上):相木さんが指揮を執る前から立ち上げられていたお墓、葬祭、仏壇という既存事業とともに、新規事業も積極的に開拓していく方針だとうかがっています。そのうち、まず既存事業については、どのような部分に成長余地があるとお考えですか?

相木孝仁(鎌倉新書株式会社代表取締役社長。以下、相木):現状においては、墓地・霊園、葬儀社 や仏壇店を探しているご利用者様をネット上で集客し、意向に沿った事業者とマッチングしているのが我々のビジネスです。しかし、たとえば最近の墓地・霊園のケースですと、我々が現地見学の予約を入れるところまでお手伝いするというアプローチもはじめています。従来のように事業者が直接アポイントを入れようとすると、ご利用者様はどうしても身構えてしまいがちです。その点、第三者である当社であれば、安心して見学の予約をしていただけます。

村上:なるほど。御社はあくまで第三者的な立場だから、ご利用者様も比較的気軽に見学の予約を入れやすいわけですね。

相木:その通りです。事業者が希望すれば、 いくつか見学していただいた後で我々がご利用者様から感想を伺い、最終決定のアシストを行うことも可能です。そうすることでご案内後の成約率が向上すれば、事業者の満足度を高める結果につながりますし、我々としても今まで以上の拡大が見込めるようになるでしょう。

村上:一見する限り、御社のビジネスは事業者から手数料収入を得ているB to Bであって B to Cではありませんが、Cとも直接深く関わっていくことが大きな意味を持っているという話なのですね。

相木:ええ。我々はご利用者様からはお金をいただいておらず、ややもすると事業者のほうに目を向けがちになりますが、我々はつねにC(ご利用者様)側の視点を忘れないように強く意識しています。

供養に関する悩みは尽きぬが、相談先がないのが実情

村上:非常にセンシティブなテーマを取り扱っているビジネスであるだけに、事業者側もC側の視点を持たないと上手くいきませんよね。もともと御社が今のビジネスを展開する前から、この分野ではBとCの間に丁寧な関係性というものが存在していたのでしょうか?

相木:いろいろな事例があるので、一概には言えません。ただ、メディアでよく取り上げられている議論はちょっと偏りすぎていると個人的には感じています。たとえば「今までは料金体系がブラックボックス化されたグレーな世界だったが、ついに低価格で定額制の葬儀サービスが登場した」という話題が注目を集めていることなどです。そういったサービスに対するニーズが存在していることはまったく否定しませんし、シンプルでわかりやすく、訴求力もあると思います。ただ、その一方で生前にお付き合いが広かった故人を弔うというケースでは、相応の規模と予算で葬儀を行う方が、ご遺族が満足する形の葬儀になるはずです。結局、個々のご利用者様のニーズに応じて、適切にマッチングのお手伝いをすることが我々の使命だと思っているのです。

村上:Amazonでも僧侶の手配ができる時代になっているからといって、便利さや価格の安さだけで業界全体の課題が解決するわけではないということですね。葬儀やお墓、その後の供養に関しては、明らかにノウハウを得る機会が少なく、利用者も困っています。だからこそ、C側へ付加価値を提供していくように努めなければ、業界全体がフェアな状態になっていかないのでしょう。

相木:ご利用者の皆様は悩みだらけであるにもかかわらず、誰に相談すればいいのかもわからない状況にあります。その一方で、ほとんどの石材店や葬儀社はご利用者様のために心底から親身になって対応しています。我々としては、こうしたBとCの両方を手厚くサポートしていきたいと思っています。

村上:2018年1月期決算発表のタイミングで、36期(2019年1月期)〜37期(2020年1月期)にかけての中期経営計画を掲げましたね。ここまでの話をうかがう限り、極めて自然な流れで中期経営計画へと発展していったようにも見受けられるのですが、その点はいかがなのでしょうか?

  

(鎌倉新書 平成30年1月期 決算説明資料より)

相木:入社してから私が問題提起した内容については、おそらく既存のメンバーたちが心の内で感じていたことと重なる部分が多いはずです。もちろん、様々な議論が飛び交いましたが、何度も協議を重ねたうえで、2020年1月期には、あくまで長期目標の通過点として2017年6月発行の有償ストックオプション行使条件「営業利益6.5億円」を超える「7億円をめざす」という計画がまとまりました。