INTERVIEW

【ベルフェイス】「営業×テクノロジー」の可能性を追求するセールスプラットフォーム

2020.02.21

今般、シニフィアン株式会社は運用するグロースファンド「THE FUND」を通じて、ベルフェイス株式会社への出資を実施しました。今回の資本参加を機に、ベルフェイスの事業拡大に向け、リスクマネーと経営知見の提供に努めていきます。テクノロジーを活用して営業を大幅に効率化するベルフェイスの現在と、今後の事業展開について中島社長にお話を伺いました。

中島一明(なかじま かずあき)

ベルフェイス株式会社代表取締役。起業を志し3か月で高校を中退。15歳で土木会社に就職し、貯めた資金で世界一周の旅をしながら200枚のビジネスプランを作成。 2007年、21歳で一社目を起業し、各県の中小企業経営者を動画で紹介する広告メディア「社長 .tv」を全国展開。同社退任後、2015年4月27日にベルフェイスを設立、代表取締役に就任。

(ライター:代麻理子)

営業現場に必要なインサイドセールスを実現するWeb会議システム

シニフィアン:まずはベルフェイスの事業概要について教えて下さい。

中島一明氏(ベルフェイス株式会社代表取締役。以下、中島):ベルフェイスは、営業に特化したWeb会議システムを提供しているスタートアップです。

一般的なWeb会議システムでは映像だけでなく、音声のやりとりにもネット回線を使用しています。ですが、オフィスのネット回線が不安定なケースもまだまだ少なくありません。そのため、こうしたネット環境では商談の途中で音声が途切れるなどといった問題が生じてしまいます。

ベルフェイスは資料共有や商談の記録はオンラインで行いつつ、並行して電話回線を通じた会話を実現することで、ストレスなくオンラインでの営業が簡単に実施することができる会議システムです。

シニフィアン:現在どのくらいの企業にサービスを提供されているんですか?

中島:サービスの公開から4年間で、現在は約1,200社にご利用いただいています。

シニフィアン:事業を立ち上げられた頃から今に至るまでの経緯と、このタイミングで資金調達をした背景についてお聞かせ下さい。

中島:サービス公開当初は、インサイドセールス(客先に訪問せず、オフィス内で完結する営業)という手法がまだ日本に浸透していなかったため、ベルフェイスを導入していただいてもなかなか定着せず、継続利用には至りませんでした。

そこで導入いただいたお客様にベルフェイスをご活用いただくために、サービスの開発に加えて、カスタマーサクセスの充実に徹底して取り組んできました。

近年、インサイドセールスが国内でも認知を得たことで市場が拡大し、一定の顧客基盤・収益基盤を築くことができました。ここからいよいよサービス普及を加速させ、本格的にベルフェイスを世の中に広めていくために、資金調達を実施した次第です。

サービス本格普及に向けて人材採用を強化

シニフィアン:今回の資金調達額は52億円と大規模ですが、主な資金使途の予定を教えて下さい。

中島:調達額の一部はマス広告に活用しますが、最も大きな資金使途は、事業の拡大に向けた人材採用です。

プロダクト開発には優秀なエンジニアが必要ですし、ベルフェイス上でのセールス録画データを解析するデータサイエンティストも必要です。

また顧客獲得のための人材も充実させていきたいと考えています。現在、ベルフェイスは月間2,000件以上のお問い合わせを受けていますが、十分にご対応するうえで、現状では営業部門もカスマターサクセス部門も人員が不足しております。併せて、組織力の強化に向けて、コーポレート部門の人材層も充実させていきます。

人材採用という点では、マネジャー層の充実が重要なテーマですね。会社が拡大していくためには、組織の階層化が必要ですが、開発サイド、ビジネスサイド、管理サイド共に共通して、マネジャー層の人材を積極的に登用していきたいと考えています。

弊社には現在、120名程の従業員がいるのですが、来期は約300名の採用を目指していきます。

リード投資家の選定ポイントは事業の可能性の拡大

シニフィアン:事業の拡大に向けての資金調達ですが、なぜ今回、THE FUNDをリード投資家としてお選びいただいたのでしょうか?

中島:他の投資家の方々とも相当なやりとりをさせていただいたのですが、THE FUNDにリード投資家になっていただこうと決断したのは、成長期にある弊社と経営者である私に、シニフィアンの皆さんが最も真剣に向き合ってくださったからです。

我々が準備していた事業計画に対していただいたアドバイスやフィードバックによって、来期の計画の精度を格段に上げることができました。「どのような精度・角度から数値が導かれているのかを言語化してください」といった問いかけや、「もしより多くの資金があったとしたら、どのようなアイディアを実現したいのかを資料化して見せてください」といった指摘ですね。

資金調達プロセスにおけるシニフィアンの皆さんとのやりとり自体が、我々にとって事業戦略の精度を上げるうえで最高の壁打ちとなりましたし、THE FUNDから調達することによって事業の可能性をより広げることができると感じました。

我々の顧客には中小企業のお客様もいれば、エンタープライズのお客様もいますが、顧客層によって顧客単価があまり変わらないことが法人向けSaaS事業を営むうえでの課題でした。そこに対しても、シニフィアンの皆さんから具体的なアドバイスをいただき、実現可能な改善策を練ることができたと感じています。

結果として、事業計画の解像度が上がりましたし、金融機関とのやりとりや、社内メンバーに対する説明も鮮明に行えるようになったと感じています。

特にいただいたアドバイスの中で、「打席に立つ」という言葉が非常に強く印象に残っています。今行なっている事業を続ける延長線上での成長に加えて、より多くの打席に立つためには何が必要かを改めて深く考えるきっかけになりました。

シニフィアンの皆さんとのやりとりを通じて、より未来に向けた構想を詳細に煮詰めたことにより、異なる角度からのビジネスの可能性も具体的に見えてきましたし、人員配置や組織のコンセプトが固まりました。

このような関係を続けながら事業を成長させていけたら、会社としての成長が一気に加速すると確信したのが、THE FUNDをリード投資家として選ばせていただいた最大の理由です。

「営業×テクノロジー」の可能性を追求するスタートアップ

シニフィアン:我々もベルフェイスのこれからの成長プロセスをご一緒できることを楽しみにしています。最後に、今後の意気込みを聞かせて下さい。

中島:我々は、「ベルフェイスにしかできない事業を行う」ことを強く意識しています。世の中にはそれぞれの業界に複数のプレイヤーが存在し、自分たちがやらずとも誰かがやってくれる、といったようなビジネスが多数存在しています。

スタートアップの存在意義を考えた時に、「なぜ我々がやるのか」と「マーケットとの関係」が非常に重要だと思っております。

ベルフェイスにしかできない事業を確立するうえで、営業×テクノロジーという領域には大きな可能性があると確信しています。サービスを提供することによって得られるセールスのビックデータには、まだ発掘されていない高いビジネスポテンシャルが眠っています。

ベルフェイスはその大きな可能性を秘めた領域で事業をやりきることを誓っています。営業×テクノロジーという領域にご興味がある方は、ぜひお気軽にWeWorkに遊びにいらしてください!

シニフィアン:我々も、ベルフェイスのサービスをより多くの方々に広められる体制を構築できるよう、引き続き経営力強化に向けたサポートに努めていきます。本日はありがとうございました。